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ウイリアム・ガゼッキをお気に入りに追加 ウイリアム・ガゼッキのリンク #blogsearch2 ウイリアム・ガゼッキとは ウイリアム・ガゼッキの43%は濃硫酸で出来ています。ウイリアム・ガゼッキの29%は大人の都合で出来ています。ウイリアム・ガゼッキの16%は花崗岩で出来ています。ウイリアム・ガゼッキの7%はビタミンで出来ています。ウイリアム・ガゼッキの2%は黒インクで出来ています。ウイリアム・ガゼッキの1%は犠牲で出来ています。ウイリアム・ガゼッキの1%は根性で出来ています。ウイリアム・ガゼッキの1%はむなしさで出来ています。 ウイリアム・ガゼッキ@ウィキペディア ウイリアム・ガゼッキ ウイリアム・ガゼッキの報道 gnewプラグインエラー「ウイリアム・ガゼッキ」は見つからないか、接続エラーです。 ウイリアム・ガゼッキのキャッシュ 使い方 サイト名 URL ウイリアム・ガゼッキの掲示板 名前(HN) カキコミ すべてのコメントを見る ページ先頭へ ウイリアム・ガゼッキ このページについて このページはウイリアム・ガゼッキのインターネット上の情報を集めたリンク集のようなものです。ブックマークしておけば、日々更新されるウイリアム・ガゼッキに関連する最新情報にアクセスすることができます。 情報収集はプログラムで行っているため、名前が同じであるが異なるカテゴリーの情報が掲載される場合があります。ご了承ください。 リンク先の内容を保証するものではありません。ご自身の責任でクリックしてください。
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ウイリアム・タプリーをお気に入りに追加 ウイリアム・タプリーのリンク #blogsearch2 ウイリアム・タプリーとは ウイリアム・タプリーの53%は波動で出来ています。ウイリアム・タプリーの41%は砂糖で出来ています。ウイリアム・タプリーの4%は欲望で出来ています。ウイリアム・タプリーの2%はカテキンで出来ています。 ウイリアム・タプリー@ウィキペディア ウイリアム・タプリー ウイリアム・タプリーの報道 gnewプラグインエラー「ウイリアム・タプリー」は見つからないか、接続エラーです。 冬のソナタ またでるよ 冬のソナタ 韓国KBSノーカット完全版 DVD BOX(初回限定 豪華フォトブックレット&スペシャル特典ディスク付) 本当に長い間、待たせてごめんなさい。「冬のソナタ」韓国KBSノーカット完全版をいよいよお届けします。 映像は韓国KBSのオリジナルそのままに、音楽に関してもユン・ソクホ監督が想いを込めて監修し、一部楽曲を変更しました。初回限定特典にはぺ・ヨンジュン 独占インタビュー/ユン・ソクホ監督&田中美里の対談スペシャルDVDの他、DVDオリジナルポストカード、シリアルNo付 豪華フォトブックレット(20P)を封入しております。 今までの日本用編集版よりも約166分長いノーカット映像(本編後のエンドロールも収録!)に加えて、映像特典の【スペシャル短編集】には、ペ・ヨンジュンのスノーボードシーンの撮影風景も収録しています。 【ここが違う!8つのポイント】 ◆今までの日本用編集版よりも約166分長いノーカット映像(本編後のエンドロールも収録!) ◆ファン待望の「ダンシング・クィーン」「白い恋人たち」をついに収録。 ◆日本語吹替を再収録。萩原聖人さん、田中美里さんが担当、その他主要人物もなつかしいあの声で。 ◆本編は日本語字幕に加えて韓国語字幕も収録 ◆一部変更した楽曲をユン・ソクホ監督が想いを込めて監修!(一部BGMはオリジナル版より変更されています) ◆<初回限定特典1>スペシャルDVD:★ぺ・ヨンジュン 独占インタビュー/★ユン・ソクホ監督&田中美里の対談 ◆<初回限定特典2>豪華フォトブックレット:シリアルNo付(20p) ◆<初回限定特典3>DVDオリジナルポストカード3枚 ウイリアム・タプリーのキャッシュ 使い方 サイト名 URL ウイリアム・タプリーの掲示板 名前(HN) カキコミ すべてのコメントを見る ページ先頭へ ウイリアム・タプリー このページについて このページはウイリアム・タプリーのインターネット上の情報を集めたリンク集のようなものです。ブックマークしておけば、日々更新されるウイリアム・タプリーに関連する最新情報にアクセスすることができます。 情報収集はプログラムで行っているため、名前が同じであるが異なるカテゴリーの情報が掲載される場合があります。ご了承ください。 リンク先の内容を保証するものではありません。ご自身の責任でクリックしてください。
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ウイリアム・スノウをお気に入りに追加 ウイリアム・スノウのリンク #blogsearch2 ウイリアム・スノウとは ウイリアム・スノウの74%は呪詛で出来ています。ウイリアム・スノウの24%は記憶で出来ています。ウイリアム・スノウの1%は真空で出来ています。ウイリアム・スノウの1%は陰謀で出来ています。 ウイリアム・スノウ@ウィキペディア ウイリアム・スノウ ウイリアム・スノウの報道 半導体不足でローテク化、メーカーが設計見直し - Wall Street Journal 「 メタバース の実現までには、まだ長い道のりがある 」: メタバースの生みの親、 SF作家 ニール・スティーヴンスン 氏(DIGIDAY[日本版]) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース ウィリアム・フォーサイス&ピナ・バウシュのダンス公演が2022年に来日 - ステージナタリー ウイリアム王子とヘンリー王子 関係修復は前途多難? “助け”がない状況に専門家注目(Hint-Pot) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース ヘンリー王子夫妻の“王室引退”描く米ドラマ ウイリアム王子の設定が“悪役”と話題(Hint-Pot) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 思わずほっこり キャサリン妃&ウィリアム王子の“絆”が感じられるショット5(25ans(ヴァンサンカン)) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース ウイリアム王子そっくりの美少年 ジョージ王子8歳誕生日写真に大反響 「ゴージャス」(Hint-Pot) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 冬のソナタ またでるよ 冬のソナタ 韓国KBSノーカット完全版 DVD BOX(初回限定 豪華フォトブックレット&スペシャル特典ディスク付) 本当に長い間、待たせてごめんなさい。「冬のソナタ」韓国KBSノーカット完全版をいよいよお届けします。 映像は韓国KBSのオリジナルそのままに、音楽に関してもユン・ソクホ監督が想いを込めて監修し、一部楽曲を変更しました。初回限定特典にはぺ・ヨンジュン 独占インタビュー/ユン・ソクホ監督&田中美里の対談スペシャルDVDの他、DVDオリジナルポストカード、シリアルNo付 豪華フォトブックレット(20P)を封入しております。 今までの日本用編集版よりも約166分長いノーカット映像(本編後のエンドロールも収録!)に加えて、映像特典の【スペシャル短編集】には、ペ・ヨンジュンのスノーボードシーンの撮影風景も収録しています。 【ここが違う!8つのポイント】 ◆今までの日本用編集版よりも約166分長いノーカット映像(本編後のエンドロールも収録!) ◆ファン待望の「ダンシング・クィーン」「白い恋人たち」をついに収録。 ◆日本語吹替を再収録。萩原聖人さん、田中美里さんが担当、その他主要人物もなつかしいあの声で。 ◆本編は日本語字幕に加えて韓国語字幕も収録 ◆一部変更した楽曲をユン・ソクホ監督が想いを込めて監修!(一部BGMはオリジナル版より変更されています) ◆<初回限定特典1>スペシャルDVD:★ぺ・ヨンジュン 独占インタビュー/★ユン・ソクホ監督&田中美里の対談 ◆<初回限定特典2>豪華フォトブックレット:シリアルNo付(20p) ◆<初回限定特典3>DVDオリジナルポストカード3枚 ウイリアム・スノウのキャッシュ 使い方 サイト名 URL ウイリアム・スノウの掲示板 名前(HN) カキコミ すべてのコメントを見る ページ先頭へ ウイリアム・スノウ このページについて このページはウイリアム・スノウのインターネット上の情報を集めたリンク集のようなものです。ブックマークしておけば、日々更新されるウイリアム・スノウに関連する最新情報にアクセスすることができます。 情報収集はプログラムで行っているため、名前が同じであるが異なるカテゴリーの情報が掲載される場合があります。ご了承ください。 リンク先の内容を保証するものではありません。ご自身の責任でクリックしてください。
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クレイブ・ジェームス提督 惑星平和連合 宇宙防衛艦隊 旗艦 戦艦「マキチラス」号艦長 艦隊司令も兼ねている模様。 宇宙歴2573年 6月9日 輸送艦「マナフト」号を惑星「ズラズレ」へ輸送護衛中に惑星タモの暗黒艦隊に襲撃され、 積み荷を強奪される。 レオ ドラエモン サザエ のカプセルロケットを発射し、事態の打開を計る。 歌が上手いので、「のれゆけ流星号」を歌っている。 記:ドラの一番弟子 名前 コメント
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567 ウイリアム・テル3 ◆TIr/ZhnrYI sage 2009/12/19(土) 17 51 28 ID XEFB863y ドアに伸ばしかけた手を、ふと止めた。 「天野君?」 怪訝そうな声が後ろから聞こえた。 振り返り、軽く笑みを浮かべて、 「ちょっと、ここで待っててくれるか?部屋散らかってるから片付けておきたいんだ」 「別に気にしないよ~そんなの。勉強ができるスペースがあれば」 「あ~、そのスペースもないかも」 「え~、本当?たまには掃除もしないと」 「はは、そうなんだけどね。そういうことだから、ちょっとだけ!もう5分くらいでちゃっちゃとやっちゃうから」 「わかった~出来るだけ早くお願いね」 うん、と頷いて見せて、一人玄関をくぐる。 ぱたぱた、と足音。 靴を脱いで、待ち構えて、 「おかえりー、お兄ちゃ――」 「まずは眠れっ!」 「エメラルドフロウジョン?!」 今日も今日とてコスプレ姿で出迎えた妹を、問答無用で沈めた。 「きゅー」 「……」 足元で伸びて目をまわす妹の両足をつかみ、無言でずりずりと引きずっていく。 途中でごんごんと何度か林檎の頭と床がぶつかりあうが、この際気にしない。 そのままリビングに放り、よし、と息をつく。 まるで人を殺して、死体を隠そうとする犯人だなと苦笑して、妹の姿を眺めた。 林檎は残念でならないプロポーションを、それで体守れてんの?と思わずにはいられないような鎧で覆っていた。 某有名RPGの女戦士の格好だと、思う。 「だから、コスプレするんなら自分の姿をまず鑑みてやれと……」 「それがいきなり、大技決めてきた人の言うことなのかな、お兄ちゃん!せっかくのコスプレの兜がパッカリ割れちゃったよ!」 「……チッ、生きてたのか」 「舌打ち!舌打ちしたよ、今、この人!」 「結構本気でやったんだが、元気だな、お前……。まあそれはどうでもいい」 どうでもいいって何さー!と頬をふくらます林檎の肩に手を置き、精一杯目つきを鋭くして、 「いいか、今日はお兄ちゃんの勝負の日なんだ。大人しくしていろよ」 「いたた、肩、痛いんだけど、それもイイっていうか……唐突な話の展開についていけないよ!」 「林檎、お兄ちゃんの彼女いない歴を答えてみろ」 「え、今も彼女持――」 「お前は彼女じゃないからな、ちなみに15年だ」 林檎の言葉をさえぎって、自分で答えた。 もう、お兄ちゃんのイケズ、と体をくねらせる林檎は無視。 「いいか、今からお兄ちゃんはちょっと気になる女の子と一緒にお勉強タイムだ。だからお前に構ってる暇はない、お前は大人しくしていろ。いいな?」 「……えー、りんご馬鹿だから、よく分かんな――」 「そう言うと思ったよ!」 「オレンジクラッシュ?!」 今日二発目となる大技を惜しげもなく、敢行。 ……これで少なくとも2~3時間は目を覚まさないだろう。 保険として、ロープで体と足をぐるぐる縛っておいた。 568 ウイリアム・テル3 ◆TIr/ZhnrYI sage 2009/12/19(土) 17 52 03 ID XEFB863y 「ふう、むなしい戦いだった」 やり遂げた思いで、息をつき、玄関へと向かう。 ドアを開けると、きょろきょろしていた女の子が気付き、ほほ笑んだ。 「あ、終わった?」 「うん、掃除完了。ごめんね、待たせて。どうぞ、あがってあがって」 「おじゃましまーす」 彼女が靴を脱ぐのを待って、2階にある自分の部屋へと案内する。 後ろをついてくる彼女は、興味深げに周囲を見渡している。 あまり褒められた行動ではないが、それが不思議と嫌味に感じないところが彼女の美徳だと思う。 「林檎ちゃんは?いないの?」 「あー、まだ帰ってないみたいだわ」 「でも、確か中学もテスト前じゃ……」 「だよね!全く、アイツは馬鹿なくせにどこで油売ってるんだか。大峰さんですらこうしてまじめに勉強しようとしてるのに」 「ちょ、それってどういう意味かなー。私は確かに馬鹿だけどー」 ちょっと失礼だぞ、と怒った風で言う大峰さん。 はは、ごめん、と謝りながら、ほっと安堵。 彼女、大峰真琴は高校のクラスメイトでクラス委員長をしている少女だ。 中学からの知り合いだし、今年俺が副委員長に選ばれたこともあって、他の女子よりも比較的良く話す女子だった。 頭でものを考えるよりも、行動する方が得意で、明るい性格のおかげか人望もある。 あるのだが、率先して人を纏めるというより、その場の勢いで後ろも見ずに突っ走るという感じだった。 一言で言うと、猪突猛進、それが、大峰真琴に対する俺の印象だった。 特に彼女が好きだというわけではない。 でも、林檎と少し距離を置くための一歩としてちょうどいいと思った。 最悪だ、と思う。 結局彼女を利用して、自分の心地よい日常を守ろうとしてるだけ。 「はー、思ったより片付いてるじゃん。私の部屋よりきれいだよ。何片付けてた――あーそうか、そうだよね」 俺の部屋に入って大峰さんは、急に。 男の子にはいろいろあるもんねー、とか言って視線はベッドの下。 いや、さすがにそんなベタなところに隠してないし、紙媒体は残念ながら存在しない。 「何考えてるのか、ありありと分かるけど、そうじゃないから。それよりほら、早く教科書出して、今回赤点だとやばいんでしょ?」 「そうなんだよ。うちの部活の顧問が、数学のジョリーでさ。次数学で赤点取ったら出さないぞって釘刺されたんだよねー」 いや、参ったよ、とあっけらかんと笑う。 どうでもいいが、何で俺の周りにはこう、バカっぽい女の子ばっかりなんだろうか。 俺は、知性的な人が好みだというのに。 ――「彼方」 瞬間、頭の隅をよぎる優しい、静かな声。 ずきん、と胸に走るのは鈍い痛み。 「わぉ、天野君可愛いー」 ふと、聞こえてきた声に意識を引っ張られた。 は、と声の方を見ると、大峰さんが俺のベッドに寝そべっていた。 「……何してんだ、アンタ」 「え、アルバム見てるの。こういうの男友達の部屋に上がったらやってみたいって憧れてたんだよねー」 「一応聞くけど、勉強は?」 「あとでー」 大峰さんは、アルバムをペラペラとめくっている。 あれは確か中学の卒業アルバムだったか。 「ていうか、大峰さん俺と同じ中学だったろ?同じ奴持ってるはずじゃ……」 「そうだけど、こう、シチュエーションが大事なの。わかるでしょ?」 「いや、全っ然分かんないっス」 はあ、とため息。 ため息をつくと幸せが逃げるというのは有名な寓話だが、真偽はどうなんだろうか。 真実ならば、俺にはもう、ささやかな幸せすら残されていない。 大峰さんは鼻歌を歌いながら、アルバムをめくる。 膝から曲げた足が、ぱたぱたと動くたび少し短めのスカートが浮くがパンツは見えそうで見えず、しかしそれでも十分艶めかしい。 じっと、食い入るように見ていた自分に気付き、意識を飛ばすように勢い良く首を横に振った。 何やってるんだろう、俺。 また逃げそうになった幸せを何とかこらえ、俺は一人鞄から道具を取り出して、テスト勉強を始めた。 ……どうでもいいんスけど、鼻歌、ビリージーンって結構渋いっスね、いや、まあ俺も好きですけど。 569 ウイリアム・テル3 ◆TIr/ZhnrYI sage 2009/12/19(土) 17 52 37 ID XEFB863y 「ねー、天野君」 数十分くらい経っただろうか。 だんだん集中できて、問題を解くスピードも上がってきたというところを、能天気な声にシャットダウンされた。 ちょっとだけイラッとしたが、我慢する。 まさか彼女に対して、いつも林檎にやっているようなことをするわけにもいかない。 「なに?」 「この子だれ?」 アルバムを指さして見せた。 彼女の手にあるアルバムは中学の卒業アルバムではなく、市販のアルバムノートに変わっていた。 それを見て、しまったな、と心中で舌打ち。 家族写真は本棚の隅の方に隠していたはずだが、何故か大峰さんは探し出していた。 隠していたといっても、ちょっと見つかりにくいというだけでそこまで本格的に隠していたわけではなかったことがまずかったのだろう。 大体、自分の部屋に林檎以外の人間を入れるのは、凄く久しぶりだったから油断していた。 「この可愛い子は、多分林檎ちゃんだと思うんだけど……こっちの綺麗な女の子はだれ?」 彼女の指す写真には、今より少し幼い俺と、余り今と変わらない林檎、そして白いベッドの上で優しくほほ笑む女の子。 その顔は林檎に似ていたが、浮かべた笑顔の質や、髪型の違い等から林檎よりも幾分大人っぽい印象を受ける。 大峰さんの言うとおり、可愛いというか、綺麗という表現が合う女の子だった。 「……姉さんだよ、俺の双子の姉」 「え!天野君ってお姉ちゃんいるんだ?それも双子!」 「まぁね、いたよ」 「……?いた?あれ、でも私この人見たことないよ。同じ中学じゃなかったの?」 「うん、姉さんは余り体が強くなかったから、ね」 「え、と、そう、なんだ」 さすがに何かを悟ったのか、大峰さんの顔が曇る。 戸惑うように、視線がさまよっていた。 「元々長くは生きられないって言われてたんだけど、4年前に、ね。死んじゃったんだ。それでも医者が言うには頑張った方なんだって」 「そ、そう……なんというか、ごめんなさい」 しゅん、と大峰さんはうなだれた。 突然大人しくなった彼女を見て、まるで借りてきた猫みたいだ、と思った。 「気にすることないよ。もうある程度吹っ切れたし、ね」 「でも……」 「それより、ほら、早く勉強始めよう。赤点取りたくないんでしょ?」 暗い空気を払拭するように、努めて明るい声を出した。 うん、と素直に大峰さんは頷いて、テーブルをはさんで二人向かい合った。 「ご教授、よろしくお願いします!」 「うん、ビシバシいくから、覚悟してね」 「はは、お手柔らかにお願い」 まだ少し泣きそうな目で、大峰さんが笑った。 今すぐに元気いっぱいとは言えないだろうけれど、やがていつもどおりに戻ってくれるだろう。 そこが、大峰さんの良いところの一つだと思うから。 ふと、件の写真に視線を向けた。 病院での一枚。 姉さんにどうしても、とせがまれて撮った写真だった。 このころは、家族4人皆揃って、ささやかでとても幸せな毎日だった。 狂いはじめたのは、きっと、そう。 姉さんが、最後に仮退院した、あの夏の日。 照りつける太陽、蝉しぐれ、そして、畳の上に転がった二人の汗のにおい。 570 ウイリアム・テル3 ◆TIr/ZhnrYI sage 2009/12/19(土) 17 56 17 ID XEFB863y 1時間くらいして大峰さんも元気を取り戻したころ、ふいに部屋のドアがノックされた。 「あれ、林檎ちゃんかな?」 「え、まさか、あの拘束をこんなに速く――」 「お兄ちゃん、りんご、緊縛プレイは嫌いじゃないけど放置プレイはお兄ちゃん相手でもごめんなさいなんだよ!」 林檎がドアを勢いよく開けて、叫んだ。 返事待たないんなら、ノックの意味ないだろ! 「え、緊縛?放置プレイ?」 大峰さんは頭の上にはてなマークを飛ばしていた。 あー、やっちまった、と俺は心の中で頭を抱えた。 「というかお前、どうやって……」 「もちろん、りんごは縄抜けの術も習得済みだよっ」 「お前は、どこの忍者だよ!」 林檎……恐ろしい子っ!! ふと、林檎が付いていけずポカンとしている大峰さんをじっと見た。 その目は少し鋭さを持っていて、大峰さんは訳も分からず気圧された。 で、と林檎は口を開いた。 その声はついさっきまでとガラリと変わり、冷たく鋭い。 「で、この人だれ?」 「え、えと私は大峰真琴、林檎ちゃんとは何度か逢ったことあるんだけど、覚えて、ない、かな?」 「知らない」 571 ウイリアム・テル3 ◆TIr/ZhnrYI sage 2009/12/19(土) 17 57 23 ID XEFB863y 「そ、そう」 大峰さんが困ったようにこっちを見た。 はあ、とため息。 「林檎、俺たち勉強中だから、邪魔しないでくれ」 「お兄ちゃんの方が邪魔。ちょっと黙ってて」 「……はい、すいませんっした」 林檎にギンッと睨まれ、速攻で、すごすごと引き下がった。 大峰さんが、恨めしげな眼で見てくるが、さっと視線を反らした。 だって、怖いんだもん。 「ねえ、あなた、お兄ちゃんの何?」 「へ、な、何って言われても、友達、かな」 「ふーん、友達、ねえ……」 じろじろ、品定めの視線。 胸のところで、はんと馬鹿にした笑み。 「や、さすがに、お前が鼻で笑える部分じゃないだろ、確実に」 「黙ってて、って、言ったよね?」 「サー!すんませんっした、サー!」 気をつけの姿勢で、びしっと敬礼。 土下座しようかとも思ったが、ギリギリのところで兄の威厳は守った。 ……守れていないだろうか? 林檎の詰問は続く。 「お兄ちゃんのこと好きなの?」 「へ、す、好き、って私が?」 瞬間、大峰さんの顔がボンっと燃え上がり、みるみる赤くなっていく。 へぇ、そう、と林檎の声はますます剣呑に。 「惹かれ始めているけど、気付いていないってところかな」 意外と初心なんだね、と林檎はくすくす嗤った。 ……さっきから、お前何様なんだよ、一体。 「でも、残念。お兄ちゃんは私のモノなの」 「へ、モノって……。それに二人は兄妹……」 「証拠もあるんだよー。ほら、こ・れ」 語尾に音符を飛ばしながら、林檎が手に持っていた写真を大峰さんに渡した。 その写真を覗き込み、瞬間、ひっと大峰さんの悲鳴に似た声。 そして、俺を気持ち悪いものを見るような目で見てきた。 え、俺?ていうか、その目、何でしょうか、すっごい嫌な予感しかしないんですけど。 大峰さんは、妙にあたふたと、慌てたように、 「え、えと、私こういうの経験ないし、良く分からないけど、二人が愛し合ってて幸せなら、応援する、よ。う、うん」 と、捲し立てるように言った。 「わぁ、本当ですかー。ありがとうございます大峰先輩」 唐突に林檎の声がいつもの調子に戻った。 それに、いつの間にか、敬語も使っていた。 林檎、敬語は使えるんだな、と現実逃避ぎみな感想。 「あー、ええっと、その写真見せてもらっても、いいかな?」 さすがに、ずっと現実逃避するわけにもいかない。 何とか空気を立て直す取っ掛かりを掴もうと、大峰さんの手にある写真にゆっくり手を伸ばした。 その途端、ひっと、大峰さんは後ずさり、 二人の間になんとも言えない空気が流れた。 「あ、ご、ごめん天野君!」 数拍の間をおいて、大峰さんは、しゅばばと凄い速さで机に広げられた勉強道具を慌てたように鞄に詰め込み。 だっと、逃げるように部屋のドアへ。 途中で立ち止まり、手に持った写真を俺へ押しつけて、 「お、お邪魔しました!天野君また明日!」 疾風のように駆けていく。 残されたのは、俺と林檎、そして一枚の写真。 「……」 何かもう、このまま燃やしてしまいたかったけれど、そういうわけにもいかず、恐る恐る写真を見て。 572 ウイリアム・テル3 ◆TIr/ZhnrYI sage 2009/12/19(土) 17 59 49 ID XEFB863y 「ぎゃーー!」 思わず、叫んだ。 その写真は俺と、林檎が写っていて、二人とも何故か全裸で睦み合っていた。 「え、お前これもしかして、あの時の」 妙な笑みでこちらを見ている林檎に問おうとして、ふと、気付いた。 この写真に写る二人が、今とほとんど変わらないことに。 あの時はもっと二人とも幼かった、そう、あのアルバムに写っている時の方が近い。 それに何よりも。 「林檎、お前こんなに胸あったか?それに、俺この年で駅弁とかまだ無理……」 落ち着いて見れば、成程この写真は違和感バリバリだった。 「なぁ、林檎これ」 「えへへ、気付いちゃった?凄いよね最近の画像加工技術って。本当の写真と遜色ないもん」 「あ、アイコラっ!?」 「へへぇ、りんごが作ったんだ。凄い?ね、凄い?」 や、確かにこれを林檎が作ったというなら凄いとは思うが……。 「お前、自分の年齢分かってる?っていうか、まさかこれ独学じゃないよな?誰から習ったんだよ……」 「えへ、蓮ちゃん教えてもらったー」 「蓮ちゃん?それってお前をコスプレの世界に引きずり込んだやつか?」 「ううん、それは里香ちゃん。蓮ちゃんは二次元専門だから」 何で林檎の友人は、何というか、こう、どうしようもないんだろう。 類友か?類友なのか? 「……お前、もうちょっと友人は選ぼうな?それに何で、お前はくだらない才能にばかり長けてるんだよ」 「それはもちろんお兄ちゃんへの愛ゆえにであります!」 あー頭痛が痛い、痛いよ母さん。 「お前、これ、大峰さん絶対誤解してるぞ……」 「ふぇ、何を?」 林檎はきょとんとして。 「誤解じゃないよね、別に」 「――っ」 言葉に詰まった。 何というか、自分からむざむざ地雷原に足を突っ込んだような、そんな気持ち。 敗北感になんとも言えなくなった俺を、ふふと嗤った林檎は部屋を見回し、ベッドの上のアルバムに目を止めた。 ベッドにポスンと座り、アルバムを暫くじっと眺めて、細い指で、写真に写った姉さんをそっと撫でた。 その眼に宿るのは、果してどんな感情なのか。 「りんごね、遥ねぇから頼まれたんだ」 唐突に姉さんの名前が出て、ぎょっとした。 そう言えば、林檎は姉さんを遥ねぇと呼んでいた、というか姉さんがそう呼ばせていた。 理由を聞いたことがあるけど、その方が萌えじゃない?とか言っていた。 ……今思うと姉さんもちょっと変な人だった。 「姉さんから、何を頼まれたんだ?」 「彼方を、お兄ちゃんのことよろしくねって頼まれたの、そのための準備は私がしておいたからって」 「準備?」 林檎は俺を見上げ、しかし、俺の疑問には答えない。 そして、にこり、と笑み。 それは、林檎のいつもの元気を人に与える天使の笑みとは少し性質が違った。 それは、穏やかで、慈愛に満ちた、女神の笑み。 そう、まるで、姉さんの笑みに、似た。 その時、林檎の中に、姉さんの呪いを見た。
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ジェームス・ポンド ステータス コードネーム クラス 装備 建国暦 紹介
https://w.atwiki.jp/senohtoki/pages/192.html
NPC名 ジェームス 場所 エルガイル村 役割 関連ミッション その他
https://w.atwiki.jp/mmawiki/pages/13.html
Template Otheruses {{MMA statsbox3 |name=ジェームス・トンプソン |image=Jamesthompson.jpg |realname=ジェームス・トンプソン |nickname=マッスル・グレートブリテンザ・コロッサスHYPERウルトラMEGAパンクマッスル・フーリガン |nationality=Template GBR |birth=Template 生年月日と年齢 |place=Template GBRマンチェスター |died= |team=チーム・トロージャン→エクストリーム・クートゥア |cm=196cm |kg=117kg |weight=ヘビー級 |style=レスリング |theme=カルミナ・ブラーナ |}}
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ウイリアム・クラインをお気に入りに追加 ウイリアム・クラインのリンク #blogsearch2 ウイリアム・クラインとは ウイリアム・クラインの44%は記憶で出来ています。ウイリアム・クラインの20%は毒物で出来ています。ウイリアム・クラインの17%は鉄の意志で出来ています。ウイリアム・クラインの15%は気の迷いで出来ています。ウイリアム・クラインの3%は小麦粉で出来ています。ウイリアム・クラインの1%は罠で出来ています。 ウイリアム・クライン@ウィキペディア ウイリアム・クライン ウイリアム・クラインの報道 gnewプラグインエラー「ウイリアム・クライン」は見つからないか、接続エラーです。 ウイリアム・クラインのキャッシュ 使い方 サイト名 URL ウイリアム・クラインの掲示板 名前(HN) カキコミ すべてのコメントを見る ページ先頭へ ウイリアム・クライン このページについて このページはウイリアム・クラインのインターネット上の情報を集めたリンク集のようなものです。ブックマークしておけば、日々更新されるウイリアム・クラインに関連する最新情報にアクセスすることができます。 情報収集はプログラムで行っているため、名前が同じであるが異なるカテゴリーの情報が掲載される場合があります。ご了承ください。 リンク先の内容を保証するものではありません。ご自身の責任でクリックしてください。
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529 ウイリアム・テル2 ◆TIr/ZhnrYI sage 2009/12/18(金) 15 18 56 ID lCpf83ny 「ただいまーっと」 テスト前で部活が休みということで、いつもより元気な声でドアを開けた。 授業もテスト勉強のためにと学校側のいきな計らいで少なく、普段と比べると幾分早い時間だ。 部活は好きだし、別に学校も嫌いじゃないが、やはり早く帰れるとなると嬉しくなってしまう。 鼻歌でも吹きたい気分で玄関口に座り、のんびり靴を脱いでいると、背後からぱたぱたと足音が聞こえた。 「おかえりー」 「おー、ただいまー」 聞きなれた妹に答える声も明るく振り返ると、 「へへー」 「……」 視線を妹の体へ上下に滑らせる。 どこかで見たことがあるような服装。 白いシャツ、紺のブレザーに、水色リボン。 スカートは、灰色。 手には何故か、ギター。 シンプルな女子用の制服だが、本物の制服ではないだろう。 林檎が通う中学の制服はセーラーだし、何というか生地や造りが安っぽい気がする。 つまりは、妹の最近できた趣味であるコスプレだ。 何でも、中学生になって初めて出来た友達がオタクで、妹の容姿に目を付けたその女子に流されてコスプレという世界に足を踏み入れた。 ……この年で、コスプレが趣味なんて、と林檎の将来を嘆いた回数を数えればきりがない。 「えーと、なんだっけ、それ?」 喉のあたりまで出かかっているんだが、どうしても思い出せない。 早々に諦め妹に尋ねると、ぷう、と頬を膨らませて、 「もう、何でわかんないのー。けい○んだよ、け○おん!この楽器でわかるでしょ!」 「あー……ああ、確かそんなアニメがあったな」 そう言われると、何時だったか林檎に付き合わされてDVD観賞をした気がした。 うすぼんやりとしか思い出せないが、そのアニメの主人公にの格好に似てると言えば似ていた。 「えーと、名前は何だったかなあ……」 「みおちゃんだよー」 「あれ、それって確か主人公の友人じゃなかったか?」 「もう、お兄ちゃん何言ってるの、ちゃんとこれ見て!ギターじゃなくてベースでしょ!」 ぐいっと、楽器を見せつけるように押し出してきた。 良く見れば、成程、確かに弦は4本しかない。 頭にみおちゃんとやらを何とか記憶の中から引っ張り出して、妹と見比べてみた。 確か黒髪のストレートで、背が高くて、スタイルは良いという設定だった、はず。 ……あ、何か、イラッとした。 「えへへ、髪型はちょっと違うけど、他は中々いい線いってると思うんだー」 「……」 「あれ、お兄ちゃん、どうしたの急にだまっちゃって。あーもしかしてりんごに見とれちゃったー?」 へへぇと体をうねうねさせている妹の背後に回る。 無言のまま、林檎の両脇の下に腕を滑らせ、がっちり固定。 「きゃっ、今日のお兄ちゃんは大胆だよー。もうこんな早くからやるの?そうだねーこの時間帯からなら夜通しで8回戦くらいは――」 「髪型とかそれ以前にちんちくりん過ぎて……あーもう!あと、中学生がそんな下ネタ使うんじゃありません!」 「ドラゴンスープレックスっ!?」 8回もしたら死ぬわ! 530 ウイリアム・テル2 ◆TIr/ZhnrYI sage 2009/12/18(金) 15 19 39 ID lCpf83ny 「ねー、お兄ちゃん」 「何だ、喋ってないで集中しろ」 「だってまだ首痛いー。ていうかよく愛しい妹にあんなことできるね。お兄ちゃんちょっと愛情表現がきついよ」 「俺はあれ食らっといて、首痛いだけで済むお前が怖いよ。あと愛情表現じゃねぇからな」 「ぶー、それがお兄ちゃんの全身全霊の愛を受け止めた妹にかける言葉かな!りんごはツンなお兄ちゃんも気が違うくらい大好きだけど、たまにはデレもくれないと寂しいんだよ!」 「でも、それが快感になるんだよな」 「いつの間にかキャラ設定がMになってる!お兄ちゃんがSならバッチコイだけど!」 「……」 「すっごい、蔑みの目で見られてる!……ああ、でもそれが快!感!」 何をトチ狂ったか、林檎はぶるぶると体を震わせた。 途端、何だか甘いような酸っぱいような女の香りが漂った。 ……え?林檎さん、まさか? あんたまだ○2歳でしょ。 その年でそこまで堕ちたんスか! 混乱する頭。 唖然としていると、林檎とばっちり目が合う。 今のテーブルの前に並んで座り、勉強を教えていた俺と林檎の距離は50cmもない。 林檎の目が、妙に、熱を持っていて。 黒目がちな眼が黒曜石のように、怪しく光り、俺を捉えた。 俺は、その瞳に、吸い込まれるように、顔を妹に近付けて―― 「ふんっ」 「あにゃ!」 ありったけの力で頭突きをかました。 「いたいー」 おでこを抑え恨みがましい視線を送ってくる林檎から何とか眼をそらし、立ち上がった。 ふん、と鼻で笑うふりをしてひとつ、息を吐く。 近くにある窓のところまで行き、開け放つ。 涼やかな風が、熱を帯び始めていた体を冷やした。 「ふう」 思わず漏れた吐息は、予想以上に安堵の色が濃かった。 ――危なかった、と思う。 正直、理性が勝った自分を褒めて遣わしたい。 林檎の眼。 あれは正しく牝の眼だった。 中学1年生がしていいような眼ではない。 しかも、あの眼を見るのはこれで初めてではなかった。 そう、あれは―― ……ああ、母さん俺はどこで育て方を間違ったのでしょうか。 過去をリフレインしかけた無理やり思考を切り換えて、 「さ、続きをするぞ。只でさえお前は小学生の分野を勉強してたんだからな」 「えへぇ、照れちゃう」 「褒めてねぇよ!」 林檎は特に変わった様子もなく、またノートとにらめっこし始めた。 こういう時、林檎の鳥頭は便利だと思う。 何も考えていないようで、本当に何も考えていない林檎の馬鹿さ加減には悩まされも、助けられもする。 まあ、比率は9:1くらいだが。 林檎の隣に、腰を下ろす。 換気のおかげか、既に甘酸っぱい芳香はなく、林檎のいつものシャンプー混じりの甘い体臭のみだった。 531 ウイリアム・テル2 ◆TIr/ZhnrYI sage 2009/12/18(金) 15 20 53 ID lCpf83ny 「むー」 「ん、どうした、どこか分からない所でもあるのか?」 「えとねー、これと、これと、これと、これと、これと……」 林檎は数式の書かれた教科書を次々と指さしていく。 「おい、ほとんど全部じゃないか。ていうか最初のほうは昨日教えただろ!」 「えーだって、一日経つと普通忘れちゃうよ、誰だって」 「お前の普通の基準は鶏か何かか……」 「大体ね、社会に出たら方程式とか役に立たないんだから、勉強する意味なんてあんまりないんだよ!」 「その言い訳を社会のしの字も知らないお前が言っても、なんも説得力もないからな」 「えへぇ、照れちゃう」 「だから、褒めてねぇよ!」 軽く林檎の頭を叩くと同時に、グゥと腹の鳴る音がした。 窓の外はいつの間にか暗く、開けた窓から入る風も冷たさを増していた。 お腹をさすりながら立ち上がり、窓を閉めた。 「あ、お兄ちゃんお腹空いてるの?夕飯の支度しようか」 「ん、ああ、そう言えば結構時間経ってるな。じゃ、頼めるか?」 あーい、と気の抜けたコーラのような返事をして林檎は、立ち上がり。 一歩キッチンへと歩き出したところで立ち止まり、ふむ、と考え込みだした。 「どうした?」 「えとね、この前は裸エプロンでもお兄ちゃんは落とせなかったから、今日は裸割烹着で攻めようか、それともメイド服で攻めようか迷っちゃって」 「今日は、久しぶりに外食にするか」 「うそうそ、ちゃんと真面目にやるから許してお兄ちゃん!お兄ちゃんに他の誰かが作った料理を食べさせるわけにはいかないよ!」 「そう言うのはちょっと重いんで、勘弁してください」 「素で嫌がられた!」 りんごの料理の半分は愛情でできているのに、と妹がその場に崩れ落ちる。 どこからかハンカチを取り出し目頭にあて、よよ、と古臭い泣きまね。 「そういうベタなボケはいいから、早くご飯作ってくれ」 「もーお兄ちゃんノリが悪いよ。ここはりんごをそっと抱き締めて、くんずほぐれつする場面でしょ!」 「お前に何から何まで付き合ってたら、体がいくつあってももたんわ。というか、今日はちょっと下ネタが多すぎるぞ」 「えー、そっちの方が萌えじゃないの?」 「萌えって何だ、萌えって。あのな、お前はまだガキなんだからもうちょっと節度を持ってだな――」 ぴと、と俺の唇にいつの間にか目の前にいた林檎の指がおかれた。 妖艶な眼が、じっと俺を見上げる。 その眼は、しかし何処か澱んでいて。 視線に捕えられた俺の背筋は凍り、心臓も何かに鷲掴みされたような感覚。 「りんごは、もう子供じゃないよ」 抑揚のない、平坦な声。 妙に赤く、てらてらと輝く唇が弧を描き、頬を裂いた。 「それは、お兄ちゃんが、よぉく知ってるよね」 ね、おにいちゃん? 林檎の首が俺を見据えたままかくんと傾いだ。 俺は何も答えることができず、目を反らすこともできない。 ふふ、と嗤い声。 林檎は俺の唇にあてていた自分の指を口に含み、くるりと振り返った。 「じゃあ、ご飯つくるねー。あんまり時間もないから簡単なものでもいいよね」 弾む足取りで、キッチンへと歩いて行く林檎。 その声は、既にいつもの舌足らずなものに戻っていた。 林檎の視線から解放された俺は、力なくその場に座り込んだ。 俺はあの眼をよく知っている。 知っているはずだったのに。 穏やかな日常の中ですっかり忘れてしまっていた。 いや、そうじゃない、忘れたんじゃなくて目を反らしていただけ。 アイツも姉さんと同じ血が流れていることを、俺は見ないようにしていただけなのだ。 「林檎、やっぱりお前は……」 声は小さく、林檎まで届かない。 林檎と俺の間は精々10m弱。 けれど今は、その距離が、限りなく、遠い。 林檎、それでも俺は。 「お前と、どこにでもいるような普通の兄妹としてこれからも過ごしていきたい、と。身勝手だけど、傲慢だけどそう思っているんだよ」